みなさんは、コブダイのメスが、大きくなると性別を変えてオスになるって知っていますか?
正確には、1つの縄張り内で体が大きくなったメス1匹だけが、オスになります。
以下、BBC EARTHよるメスのコブダイがメスからオスに変化する様子を映像で紹介します。
コブダイのメスがオスに変化する仕組み
海の中で、気温が摂氏16度に達するのを待ち構えていたコブダイに、繁殖の時期が訪れます。
コブダイのオスは、小柄なメスよりはるかに大きく、体長1メートル、体重15キロほどまでになる大型の魚です。
そして、繁殖の準備ができたオスは、チャンスがあると縄張り内の十数頭のメスのいずれかと交尾をしようと試みます。
しかし、10歳前後のメスは、その誘惑にほとんどほとんど乗っていません。
このことは、体が大きくなったメスが、その体がある臨界点に達すると、劇的に変化し始めることと関係しています。
変化が始まってわずか数ヶ月の間で、体内の特定の酵素が働かなくなり、男性ホルモンが循環し始めるのです。
そしてなんと、時間が経つにつれて、頭が膨らみ、顎が長くなり、生殖器も変わってメスがオスになります。
縄張りを支配するオスの世代交代
性別に伴って気性も変化した(元メスの)コブダイは、これまでこのハーレムでメスを支配してきたオスに対決を挑みます。
オス同士が互いに顔を接近させて、大きな口を開けて威嚇し始めました。強さの象徴である頭部のコブが大きいほど相手を威圧できるようです。
そして、勝負は一瞬で決まりました。
サザエをもかみ砕いて食べるという硬くて強力な歯によって、顎に深い傷を負ったオスは泳ぎ去り、縄張りに新たな王が誕生したのです。
このように性別を変化させるのは、1つのテリトリー内で体の大きなメス1匹だけです。
新たにオスとなったコブダイは、より多くの繁殖の相手を得られるので、自分の遺伝子を受け継いだ子孫をよりたくさん残すことができます。
メスが成熟してからオスに性別を変化させることを雌性先熟(しせいせんじゅく)といい、縄張りをもち、一夫多妻でハーレムをつくる魚によく見られる傾向があります。
コブダイにとてもよく似た大型魚に「カンムリブダイ」という魚がいます。