運動したら脂肪を筋肉に変えられるのか?

人体の不思議

脂肪を筋肉に変えるという考えは間違いです。

それは、バナナをトマトに変えるようなもので、脂肪と筋肉はまったく異なるために、互いに変化することはありません。

まず、「脂肪」と「筋肉」は細胞の種類が違います。

これらの細胞は 「終末分化(分化の最終段階に到達) 」しているため、互いに変換することはできないのです。

ただし、脂肪を直接筋肉に変えることはできませんが、脂肪を減らして筋肉をつけることはできます。

脂肪を燃やすには、消費カロリーより多くのカロリーを燃やす必要があり、筋肉を増やすには、高タンパク質の食事と、筋繊維を修復・成長させる運動が必要。

以下に、「脂肪」を「筋肉」に変えることができない理由について、それらの違いをもとにみていきましょう。

脂肪って何?

脂肪は脂質とも呼ばれ、体の構成要素としてさまざまな種類があります。

いくつかは細胞の境界(細胞膜)を形成するもので、他にもホルモンを生成するものや、体温を維持し、内臓を守る役割のある脂質もあります。

体は、脂質の一種コレステロールの代謝物からビタミンDを合成します。

体内に蓄えられた脂肪は、エネルギー源でもあります。

エネルギーのために蓄えられる脂肪の種類は、炭素、水素、酸素の原子の鎖で構成されるトリグリセリド分子と呼ばれます。

筋肉とは

筋肉は主にタンパク質でできており、タンパク質はアミノ酸の鎖でできています。

アミノ酸は炭素、水素、酸素、窒素で構成されていますが、硫黄分子を含むものもあります。

 

体が脂肪とアミノ酸の2つの化学物質と関わり合う方法は異なり、使い方も異なります。

脂肪と筋肉は

トリグリセリドは主にエネルギーとして使用されますが、一方で、タンパク質の大部分は筋肉で使用され、体内で化学反応を起こすのに役立つ酵素と呼ばれる小さな分子工場の一部として使用されます。

通常の状態では、タンパク質は必要な量を食事から摂取します。

特定のアミノ酸は体内で作ることができないため、食べ物から摂取しなければなりません。

したがって、体は脂肪を大量のアミノ酸に変える必要はありません。

そもそも脂肪と筋肉は異なる組織です。

脂肪と筋肉は異なる組織

生物学的な用語では、組織とは、同じ機能と構造を持つ細胞のグループです。

筋肉組織は、筋細胞、または、筋肉細胞と呼ばれるタイプの細胞で構成されています。

筋肉組織全体を見ると、これらの筋肉細胞は長い繊維のように見えます。

一方、脂肪細胞で構成されている脂肪組織、または、白色脂肪組織は、皮下脂肪として皮膚のすぐ下に、内臓脂肪として臓器の周りに、そして、骨の中にあります。

脂肪細胞は脂肪を蓄えますが、主にトリグリセリドです。

脂肪を筋肉に変えられない理由

脂肪組織を筋肉組織に変換することは不可能です。それは、ある種類の細胞を別の種類の細胞に変換することを意味し、少なくとも成人の人間では不可能だからです。

バナナをトマトに変えることを想像してみてください。

どちらも果物であるという論理に基づいていますが、変換は不可能ですね。

筋肉細胞と脂肪組織は、科学者が終末分化と呼ぶものです。

分化とは、細胞が体内で役割を選択するプロセスで、私たちが職業を選択するようなもので、終末分化は、分化の最終段階に到達した細胞を意味します。

細胞の場合、この選択を行うと、もう未分化段階に戻ることはできません。

筋肉細胞は常に筋肉細胞なのです。

脂肪を減らして筋肉に変えることはできる

ただし、脂肪を直接筋肉に変換することはできませんが、脂肪を燃焼しながら同時に筋肉を増やすことはできます。

脂肪を燃焼するには、基本的に消費するカロリーよりも多くのカロリーを燃焼する必要があります。

体の主なカロリー源は、グルコースなどの炭水化物とトリグリセリドなどの脂肪です。

食後すぐには体がグルコースを使用しますが、食間で血糖値が低いと、体が脂肪を燃焼するように切り替わります。

これに運動を加えると、筋肉が余分なエネルギーを使用する必要があり、最終的により多くのカロリーを燃焼することになります。

筋肉は増やせる

筋肉を増やすには、食事中のタンパク質レベルを高めることと、運動することの2つが必要です。

筋肉には、筋肉を収縮させる主要な機構であるアクチンとミオシンと呼ばれるタンパク質の長い繊維のようなロープが含まれています。

食事にタンパク質を加えることで、新しい筋肉を作るために必要な構成要素が体に供給されます。

ただし、新しい筋肉を作るには運動する必要があります。

上腕二頭筋、上腕三頭筋、腹筋など、一般手に筋肉と呼ばれるものの多くは、骨格筋です。

これらの筋肉は、他の組織と同様に、引っ張られたり、伸ばされたり、極端に働いたりすると損傷します。

筋肉の損傷は、筋肉にある衛星細胞(えいせいさいぼう)と呼ばれる特別な細胞によって修復されます。

これらの細胞は、筋肉の修復と再構築を助ける筋肉を作り出す筋幹細胞であり、筋肉のサイズを大きくします。

この筋肉量を増やすプロセスは筋肥大と呼ばれます。

とはいえ、筋肉のサイズは遺伝子と性別の両方に依存します。

まとめると、脂肪を筋肉に変換したり、その逆を行ったりすることはできません。

1つの組織タイプを別の組織タイプに変換することはできないためです。

さらに、これらのプロセスは直接関連していないため、失った脂肪と同じだけの筋肉を得ることもできません。

継続的な運動と食事管理が、これらのプロセスの両方に役立つのです。

脂肪と筋肉の違いについては、以下の動画で確認できます。

Can You Change Fat To Muscle When You Exercise?