火は酸素がなくても燃やすことはできます。
酸素は燃焼のための重要な酸化剤ですが、それだけではありません。塩素、フッ素、臭素など、燃焼をサポートする酸化剤もあります。
さらには、酸化剤すら必要としないこともあります。
太陽では、火と同様の熱と光を生み出し、酸素を必要としない「核融合」がエネルギー源となっていますし、ロケットにも酸素を必要としない動力源が利用されています。
以下に、酸素を必要としない反応から火が燃えることについて詳しくみていきましょう。
燃焼「酸化反応」
地球上の他のすべての存在と同じように、火にも化学式があるのでしょうか?
答え:炎にはそれぞれ固有の化学式はありません。
火は、一般に燃焼として知られる化学反応の結果に他ならないのです。
私たちの最も身近な燃焼は、物質が酸素と結びつく反応「酸化」です。
燃焼を支える2つの重要な要素は、「燃料」と「酸化物(または支燃物)」です。
- 燃料は、電子を失うか酸素原子を受け取る物質
- 酸化物(燃えるのを助ける)は、酸素原子を提供するか電子を受け取る物質
原子が電子を失うプロセスは「酸化」として知られており、本質的には燃焼です。
最も一般的に知られている酸化物の1つが「酸素」です。
酸素は、地球上にたくさん存在し、最外殻に2つの価電子があるためです。
ただし、酸素が唯一の酸化物というわけではありません。
炎って何?
ガスコンロの炎は青色なのに、キャンプファイヤーの炎はオレンジ色、さらには金属、たとえば銅が燃えるときは緑色の炎。
これらの火は、なぜ色が異なるのでしょうか?
そもそも炎は何でできているのでしょうか?
炎は、火の目に見える部分であり、主に二酸化炭素 、水蒸気、酸素、窒素、灰などのガスで構成されています。
実のところ、炎の色は、何が燃えているかを教えてくれます。
燃焼する要素ごとによって生まれる光の波長は異なり、私たちの目にはさまざまな「炎の色」として見えるからです。
酸素の代わりになるもの
酸素は燃焼反応において酸化剤の役割を果たしますが、他にも酸素の代替品としてその役割を果たせるものはあります。
ロケットの燃焼に使われる物質
ロケットに使われる単元推進剤は、(酸化物が、燃料自体の分子にすでに結合しているため)燃焼に酸化剤を必要としない燃料です。
これに対して、水素が燃料として、酸素が酸化剤として、この2種を別々の入れ物から移動させて燃焼させる二元推進剤もあります。
ハイパーゴリック推進剤は、熱や火などの発火源も酸素も必要とせずに、2つの材料を混ぜるだけで自然発火します。
その結果、それらは容易に制御できるため、理想的なロケット推進剤となります。
さて、核反応はどうでしょうか?
火と同じ結果をもたらす核融合
見た目では、火と同じ結果をもたらし、酸素はありませんが、遠く離れた星で起こっているのが「核融合」です。
核融合反応では、2つの軽い原子核が結合して重い原子核が形成され、膨大な量の光と熱のエネルギーが放出されます。
太陽のエネルギー源となっている核融合は、水素原子4つが合体して、ヘリウム原子に変わる水素燃焼です。
この反応は、水素が酸素の役割を果たすことを除いて、燃焼ととてもよく似ています。
過去100万年にわたって大気中の酸素濃度は低下してきましたが、 酸素はその豊富さと効率のおかげで 火の燃焼を含む多くのプロセスにおいて地球上で最も重要な役割を果たし続けています。